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公開日:2023/06/08 最終更新日:2023/07/27

ウェブアクセシビリティの上げ方とは?

ウェブアクセシビリティ

自社の運営するWebサイトの、アクセシビリティを上げたいと考えている方も多いでしょう。しかし、アクセシビリティについて、そもそもよく知らなかったり、対策もどのようにすればいいのかわからなかったりする方も多いと思います。この記事では、アクセシビリティとは何か、対策方法や運用について紹介します。ぜひ、参考にしてください。

アクセシビリティとは?

日常的にも使われるようになってきたアクセシビリティは、そもそもどのような意味があるのでしょうか。身の回りにあるアクセシビリティの例やユーザビリティ、ユニバーサルデザインなどの似た意味の語句との違いについて、解説します。

アクセシビリティの意味

私たちが日々使っているあらゆる製品やサービス、デジタル空間にはアクセシビリティの考え方が必要不可欠となっています。直訳すると「近づきやすさ」あるいは「接近できること」を意味します。

アクセシビリティとは、年齢や障がいの有無、利用する機器や環境などに左右されず、全ての人が利用しやすいように配慮・設計された状態のことです。

全てのユーザーが、それぞれのニーズや状況に合わせて、最大限に製品やサービスを利用できることを保証する考え方であり、我々の生活において決して避けて通れないテーマとなっています。

とくに、運動能力や視覚、聴覚に制約があるユーザー、例えば高齢者や障がいを持つ人々、病気を抱えている人々に対する配慮は、社会全体が重要視すべき課題です。全ての人が等しくサービスを享受できるようにすることは、単に個々のライフスタイルを豊かにするだけでなく、社会全体の活性化にも寄与します。

しかし、アクセシビリティの重要性は、特定の集団に焦点を当てるだけでなく、全ての人々が利用しやすい環境を整えることにあります。たとえば、言語の壁や教育の差、利用するデバイスやインターネット環境など、個々の状況に応じた配慮も考えなければなりません。

Webアクセシビリティとは

Webアクセシビリティは、ウェブの情報やサービスが、全ての人々に等しく利用できる状況を目指す考え方です。つまり、利用者の個々の状況や使用環境に影響されず、誰もがウェブサイトを容易に操作できるような仕組みの構築を推進する概念です。

しかし、Webアクセシビリティの実現には、具体的な手法と運用が欠かせません。ウェブサイトの設計段階から始まり、運用と改善まで続く一連のプロセスにおいて、アクセシビリティを常に心に留めることを意味します。

具体的には、使用するデバイスや画面サイズに依存しないデザインを導入することや、視認性を確保するための配色の選択が求められます。

また、特定の端末で文字化けを引き起こす可能性のある文字の使用を避け、文字サイズを調整することで、ウェブサイトの内容を理解しやすくする手段も重要です。さらに、視覚的なサポートとして、画像の使用も考慮する必要があります。

身の回りのアクセシビリティ

身の回りのアクセシビリティという観点から考えると、私たちが日々利用している、さまざまな製品やサービスは、異なるニーズを持つ全てのユーザーが利用できるよう配慮されています。一つ目の例として挙げられるのは、パソコンです。

たとえば、文字が小さいと見にくいユーザーがいた場合、文字の大きさを自由に調整できる機能があることで、視覚に制約のあるユーザーや高齢者でも利用しやすくなっています。次にスマートフォンを考えてみましょう。

近年のスマートフォンには、文字の拡大表示や文字の読み上げ、動作を音で通知する、そして音声で文字入力するといった機能が標準で搭載されています。これらの機能は、視覚や聴覚、運動能力に制約のあるユーザーでも利用できるようにとの配慮からです。

また、高齢者向けに開発された「らくらくスマートフォン」は、大きなボタンと分かりやすい操作性で知られています。視覚や操作に制約のあるユーザーが使いやすいよう、あらゆる面でアクセシビリティが考慮されたデザインです。

ユーザビリティ、ユニバーサルデザインとの違い

アクセシビリティは「多様な人々や状況」を想定して商品やサービスの利用可能性を最大化することに重きを置きます。対して、ユーザビリティは、特定のターゲットに焦点を当て、特定の人々や状況下での商品やサービスの利用しやすさを追求します。

つまり、アクセシビリティが一人でも多くの人に利用可能性を提供することを目指す一方で、ユーザビリティはユーザー体験の質を高めることが目的です。アクセシビリティとユーザビリティの間には、繊細なバランスが求められます。

たとえば、字幕が大きい動画は、聴覚障害者にとっては利用可能性を広げる一方で、聴覚に問題のない人にとっては、視聴体験を損なう可能性があります。

同様に、高度にカスタマイズ可能なスマートフォンは、技術に習熟した利用者にとっては使いやすくなりますが、初心者にとっては操作が複雑になり、逆にアクセシビリティを低下させるかもしれません。

次に、ユニバーサルデザインとは、多様なユーザーが、利用しやすい製品やサービスを生み出すためのアプローチを指します。この点で、アクセシビリティと共通する部分があります。

主な違いは、ユニバーサルデザインが「使いやすさを実現するための理念」であるのに対し、アクセシビリティは「使いやすさの程度」を指すということです。

アクセシビリティの対策方法とは?

アクセシビリティの対策とは、何らかの問題に対する具体的な解決策や手段を指します。ここでは、Webアクセシビリティのガイドラインや具体的な対策方法について、「視覚」「聴覚」「身体機能」「認知機能」に分けて紹介します。

ガイドラインについて

Webのアクセシビリティを定義し、向上させるためのガイドラインとしては、World Wide Web Consortiumによって提供されている「ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン(WCAG)」があります。

このガイドラインは1999年に初版が発行され、以降数回の改訂を経て、現在の形となっています。ガイドラインは4つの原則をベースに、ユーザーに情報を的確に伝え、操作しやすいインターフェースを提供することが目的です。

具体的には、利用者が情報を知覚でき、かつ、操作でき、理解できるインターフェースを設計すること、そして、コンテンツが支援技術を含むユーザーエージェントによって解釈可能な形で提供されることが求められます。

日本においては、アクセシビリティに関する取り組みは、JIS X8341シリーズという形で体系化されています。日本工業規格は、高齢者や障がい者への配慮を目的として、情報通信機器やソフトウェア、サービスの設計指針を定めており、とくに注目すべきは、このJIS X 8341-3がWCAGと連携する形で改訂されている点です。

日本のガイドラインが世界標準に基づいたものとなっており、遵守することでグローバルな視点からのアクセシビリティの向上が可能です。

ガイドラインにおける対策は、更に細かい部分に分けられ、具体的には「知覚可能」「操作可能」「理解可能」「堅牢」の大カテゴリーがあり、それぞれがさらに細かい中カテゴリーに分けられています。

また、それぞれの対応方法が具体的に記載されています。対応の難易度に応じて「A」、「AA」、「AAA」の3段階に分類されます。ここでは、わかりやすく「視覚」「聴覚」「身体機能」「認知機能」に分けて、それぞれの対策例を紹介します。

視覚に対する対策例

Webコンテンツには視覚的な要素が多く含まれますが、視覚に障がいがある方々にとっては、情報を理解することが難しい場合があります。そのため、例えば画像に対しては、音声読み上げ機能に対応したテキスト情報、いわゆる代替テキスト(alt属性)を設定することが推奨されます。

音声読み上げ機能は、代替テキストを読み上げることで、画像の内容を理解する手助けが可能です。重要なことは、ただ代替テキストを設定するだけではなく、テキストが周囲の文脈に合致し、そして読み手にとって理解しやすい内容であることが求められます。

情報の内容を具体的かつ適切に表現することで、視覚的な情報へのアクセシビリティが向上します。またテキストの色は、背景とのコントラストが高いほど、視覚に困難を抱えるユーザーにとって理解することが簡単です。

同様に、フォントもその明瞭性に配慮し、識別しやすく見やすいものを選びます。さらに、テキストの視認性を上げるためには、サイズ調整も重要な対策となります。

文字サイズは推奨されている16ピクセル以上とし、さらに、レイアウトやフォントサイズを相対指定することで、ユーザーが自由に拡大縮小できるようにするとよいでしょう。また、行間は詰めすぎず、適切な間隔を保つことで、読み間違いを防ぎます。

日本語の場合、漢字の連続は視認性を下げる可能性があるため、適度にひらがなやカタカナを用いるという配慮も必要です。以上の対策は、視覚障害を持つユーザーだけでなく、全てのユーザーにとって、ウェブコンテンツの理解と利用を容易にします。

アクセシビリティは単なる配慮事項ではなく、全ての人が情報に平等にアクセスできるようにするための必要不可欠な手段であると理解し、具体的な対策を積極的に進めていくことが必要です。

聴覚に対する対策例

聴覚に困難を抱えるユーザーや、音声を使用できない環境での利用を考えると、音声情報だけに頼らない情報伝達が重要です。一つの具体的な方法として、音声や動画のコンテンツに対して、字幕を提供することがあります。

聴覚障がいを持つ人々にも情報が伝わり、また音声環境に制約がある場合でも、情報を得ることが可能です。YouTubeなどのプラットフォームでは、動画に自動的にキャプション(字幕)を追加する機能も提供されています。

さらに、音声や動画コンテンツがある箇所については、テキストや図形などを用いて視覚情報として明示することも一つの解決策です。利用者は、音声が存在することを視覚的に認識できます。また、通知方法も聴覚だけに頼らない工夫が求められます。

たとえば、デバイスのLEDライトや画面自体の点灯・点滅、さらにはバイブレーション(振動)を用いた通知方法など、耳以外からも認識可能な通知を提供することで、より多くのユーザーに情報を伝達可能です。

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身体機能に対する対策例

身体や運動機能に制約を抱えているユーザーが直面する課題としては、マウスやキーボードなど、デバイスの物理的な操作が困難であるという問題があります。問題に対処するための一つの手法として、視線や声を用いた操作方法の導入が挙げられます。まず、視線での操作について考えてみましょう。

視線計測技術、通称アイトラッキングは、デバイスのカメラを利用して、ユーザーが画面のどこを見ているかを把握します。この技術を用いることで、視線だけで文字を入力したり、ポインターやマウスボタンのような操作を行ったりすることが可能となります。

さらに、一箇所を長時間見続けることで、タップ操作のような動作を再現することも可能です。次に、音声による操作も有効な手段として考えられます。これは、ユーザーが声を出してデバイスを操作するというもので、テキストの入力なども含みます。

Googleアシスタント、AppleのSiri、AmazonのAlexaといった、音声アシスタントを活用することで、より複雑な操作も音声で実行可能です。

以上の技術は、身体・運動機能に制約を持つユーザーだけでなく、手が塞がっているときや視覚情報を確認できない状況など、さまざまなシチュエーションでの利用を可能にします。

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認知機能に対する対策例

今日のデジタル環境では、とくにリモートワークが一般化し、たとえば家庭に小さな子どもがいるなど、集中するのが困難な環境で作業をする人も少なくありません。ユーザーが、画面上の複雑なメニューやバナー、装飾によって、集中をさらに阻害されることは避けたいものです。

そこで、分かりやすく、シンプルな設計を心掛けることが重要となります。AppleのSafariのリーダー表示など、主要なウェブブラウザには、ページの表示をシンプル化する機能があり、対応することでユーザーが内容に集中しやすくなるでしょう。

また、テキストの表現も理解しやすさに直結します。テキストが理解しやすい形で提供されることは、アクセシビリティの重要なポイントです。具体的には、全体構成が一覧できるサイトマップを用意し、各ページのメインメニューを一貫して決まった場所に配置することで、ユーザーは情報を探しやすくなります。

また、各ページには内容がすぐに分かるタイトルをつけ、リンクは下線を引いて明確にし、そのテキストもリンク先の内容を明確に示すものにすることが求められます。また、外国語や難解な言葉、一般的でない用語は避け、理解しやすい言葉を使用することも大切です。

アクセシビリティの運用方法はどうするべき?

アクセシビリティの運用方法について語る上で、まずその本質を理解することが重要です。アクセシビリティの運用とは、対策を継続的に実施し、監視し、そして改善するというプロセスを指します。

定期的なアクセシビリティの監査、新たな技術の追跡と適用、教育の提供、そしてユーザーからのフィードバックへの対応などが含まれます。

アクセシビリティを考慮することで、開発に時間やコストがかかるという側面もありますが、その労力はデメリットだけではなく、実は企業にとって大きなメリットに繋がるのです。

大きな理由としては、アクセシビリティを向上させることで、より多くのユーザーにウェブコンテンツを利用してもらえることにより、ユーザー数が増加する可能性があるという点です。

そして、企業イメージや信頼性の向上にも寄与します。アクセシビリティに配慮することで、全ての人々が平等に情報や体験を享受できる環境を作り出すという社会的意義は、計り知れないほど大きなものです。

日本が今後、超高齢化社会を迎えるなかで、アクセシビリティの重要性はさらに増していくでしょう。アクセシビリティの向上には、自社や担当のWEB制作会社での実施が推奨されます。もちろん、手間のかかる作業については、ツールやサービスを活用することも効果的です。

まとめ

アクセシビリティとは、全ての人が等しくウェブサイトなどを利用できるようにする考え方のことです。具体的な取り組みとして、端末に依存しないデザインや視認性を確保した色彩選択、文字サイズの調整などが必要です。

また、アクセシビリティ向上のためのガイドラインとして、WCAGや日本のJIS X8341が存在し、日本で定められた規格は、全世界で定められている規格に準拠しています。

アクセシビリティの運用は、定期的な監査や新技術の適用、ユーザーフィードバックへの対応などが必要で、労力がかかりますが、ユーザー数の増加や企業イメージの向上など大きなメリットも生まれます。

今回紹介した内容をもとに、アクセシビリティの運用方法について考え、自社の運営するWebサイトをより多くの人に使ってもらうために取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。

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